レビュー
【第八回】第三舞台・深呼吸する惑星
初投稿失礼します。スタッフの岡本健太です。
アートレビュー、今回は第三舞台「深呼吸する惑星」について書かせていただきます。
なお、この記事をアップする時点でこちらはまだ公演中の作品です。
つきましては、極力概略的レビューを書くようにいたしますが、ネタばれは避けられませんので、まっさらな気持ちで舞台を観たい方は以下を読まないでください。
この公演は、80年代~90年代に小劇場を席巻した第三舞台の封印解除&解散公演です。
私にとっては、最初で最後の第三舞台となりました。
場所は、伝統の紀伊国屋ホール。
木曜夜にもかかわらず、客席は満員。客層は高め。20代以下は少なかったです。
作・演出は鴻上尚史さん。
舞台は、遠い未来、地球の支配下にある惑星です。SF作品です。
上映時間は2時間。かなりテンポがよい作品なので、時間はあまり感じませんでした。
幕が開いた直後、現代のステージから急遽惑星の世界にトリップ。
当初は、そこが舞台となるとは思わず、現代に帰ってくるのだろうなって思っていました。しかし、現代には帰ってこず、ラストまで惑星にて話が進むこととなります。
メインの登場人物は、以下です。
記憶を失った墓守かつ活動家の主人公(筧利夫さん)。
地球から惑星に派遣されている軍人指揮官(大高洋夫さん)。
惑星原住民で軍人指揮官の部下(山下裕子さん)。
地球人と惑星人のハーフである山下さん演じる部下の息子(高橋一生さん)
原住民である惑星の首相(小須田康人さん)。
地球から派遣された軍所属の研究者(長野里美さん)
謎の女(筒井真理子さん)。
お話は、地球から研究者が派遣された所からスタートし、地球からの要人が来る日をゴールとして進行していきます。その中で、惑星原住民の独立を目指す活動家、惑星を支配している地球人、現実的な着地点を見出そうとする首相それぞれの葛藤が描かれています。
また、惑星に咲く花の花粉を吸うと地球人には幻覚が見えるという設定を利用し、亡くなった人間とのコミュニケーションや自身の過去の汚点との対話も描かれています。
「故人のブログの行方・取り扱い」という現代社会で注目されているテーマも背景的に描かれています。
作品中には、ダンスあり、下ネタあり、笑いあり、オールドファンネタありです。
舞台セットは、映像や照明により壁面を上手に利用し、様々な世界観を演出していました。
作品を通じ、
惑星原住民には、独立の理想は当然ある。しかし、具体的な生活を描けない理想は空虚であり、ベターで現実的なおさまりどころを望む住民感情があること
20歳から50歳に至る過程で、身体は老いていき、身近な人の死も避けられず、離婚や左遷等社会的失敗も経験すること等を感じました。
ラストシーンの主人公は、前に進むため、ある意味自分に都合がよいように、故人と語り、過去のあやまちと折り合いをつけているのか?記憶喪失となった主人公は、原住民ではないのに、なぜ独立宣言にかりたてられていたのか?等、自分の中で答えが出せなかった箇所もありました。
しかし、そのような疑問が頭に浮かび、色々な想像を頭にはりめぐらせながらの劇場からの帰路はとても充実したものでした。
私自身、BRIDGE発足当初の20歳時に比べれば、人生酸いも甘いもあることがわかってきました。しかしながら、この作品で、今後、より一層の人生の浮沈が待っている事を教わった気がしました。ただそれでも、人生のフルコースを1日でも長く味わっていきたいなとも思いました。
発足から30年が経って中心メンバーが50歳となった第三舞台を観る事ができて本当によかったです。
私たちtheatre project BRIDGEが目標とする「2050年・結成50周年」の大変さとやりがいを感じる事が出来ました。
この公演は、2012年1月まで行われます。ただ、チケットは軒並み完売しているそうなので今からの観賞は大変かもしれません。
もっとも、来春にはDVD化されるそうですので、そちらで観ることはできるかと思います。
第三舞台を観た事が無い人、昔ファンだった人、いずれの方にもお薦めできる作品ですので、ぜひ一度、ご観賞ください。
アートレビュー、今回は第三舞台「深呼吸する惑星」について書かせていただきます。
なお、この記事をアップする時点でこちらはまだ公演中の作品です。
つきましては、極力概略的レビューを書くようにいたしますが、ネタばれは避けられませんので、まっさらな気持ちで舞台を観たい方は以下を読まないでください。
この公演は、80年代~90年代に小劇場を席巻した第三舞台の封印解除&解散公演です。
私にとっては、最初で最後の第三舞台となりました。
場所は、伝統の紀伊国屋ホール。
木曜夜にもかかわらず、客席は満員。客層は高め。20代以下は少なかったです。
作・演出は鴻上尚史さん。
舞台は、遠い未来、地球の支配下にある惑星です。SF作品です。
上映時間は2時間。かなりテンポがよい作品なので、時間はあまり感じませんでした。
幕が開いた直後、現代のステージから急遽惑星の世界にトリップ。
当初は、そこが舞台となるとは思わず、現代に帰ってくるのだろうなって思っていました。しかし、現代には帰ってこず、ラストまで惑星にて話が進むこととなります。
メインの登場人物は、以下です。
記憶を失った墓守かつ活動家の主人公(筧利夫さん)。
地球から惑星に派遣されている軍人指揮官(大高洋夫さん)。
惑星原住民で軍人指揮官の部下(山下裕子さん)。
地球人と惑星人のハーフである山下さん演じる部下の息子(高橋一生さん)
原住民である惑星の首相(小須田康人さん)。
地球から派遣された軍所属の研究者(長野里美さん)
謎の女(筒井真理子さん)。
お話は、地球から研究者が派遣された所からスタートし、地球からの要人が来る日をゴールとして進行していきます。その中で、惑星原住民の独立を目指す活動家、惑星を支配している地球人、現実的な着地点を見出そうとする首相それぞれの葛藤が描かれています。
また、惑星に咲く花の花粉を吸うと地球人には幻覚が見えるという設定を利用し、亡くなった人間とのコミュニケーションや自身の過去の汚点との対話も描かれています。
「故人のブログの行方・取り扱い」という現代社会で注目されているテーマも背景的に描かれています。
作品中には、ダンスあり、下ネタあり、笑いあり、オールドファンネタありです。
舞台セットは、映像や照明により壁面を上手に利用し、様々な世界観を演出していました。
作品を通じ、
惑星原住民には、独立の理想は当然ある。しかし、具体的な生活を描けない理想は空虚であり、ベターで現実的なおさまりどころを望む住民感情があること
20歳から50歳に至る過程で、身体は老いていき、身近な人の死も避けられず、離婚や左遷等社会的失敗も経験すること等を感じました。
ラストシーンの主人公は、前に進むため、ある意味自分に都合がよいように、故人と語り、過去のあやまちと折り合いをつけているのか?記憶喪失となった主人公は、原住民ではないのに、なぜ独立宣言にかりたてられていたのか?等、自分の中で答えが出せなかった箇所もありました。
しかし、そのような疑問が頭に浮かび、色々な想像を頭にはりめぐらせながらの劇場からの帰路はとても充実したものでした。
私自身、BRIDGE発足当初の20歳時に比べれば、人生酸いも甘いもあることがわかってきました。しかしながら、この作品で、今後、より一層の人生の浮沈が待っている事を教わった気がしました。ただそれでも、人生のフルコースを1日でも長く味わっていきたいなとも思いました。
発足から30年が経って中心メンバーが50歳となった第三舞台を観る事ができて本当によかったです。
私たちtheatre project BRIDGEが目標とする「2050年・結成50周年」の大変さとやりがいを感じる事が出来ました。
この公演は、2012年1月まで行われます。ただ、チケットは軒並み完売しているそうなので今からの観賞は大変かもしれません。
もっとも、来春にはDVD化されるそうですので、そちらで観ることはできるかと思います。
第三舞台を観た事が無い人、昔ファンだった人、いずれの方にもお薦めできる作品ですので、ぜひ一度、ご観賞ください。